2017/8/6 作曲家、デイヴィッド・マスランカ逝去
最近になって知ったので時期がずれてしまったのですが、
アメリカの作曲家、デイヴィット・マスランカ氏が2017年8月6日にご自宅で逝去されました。
http://www.schottjapan.com/news/2017/170810_110317.html
マスランカは吹奏楽作曲家の中では珍しく硬派で純音楽的な作品が多く、昨今の吹奏楽界隈で重宝される標題的かつキャッチーな音楽とは一線を画す音楽を書く方でありました。作風は全く異なりますが、趣としてはブルックナーを例に挙げるのが適当かとも思います。全作品を通した傾向や具体性を持たない点、宗教的な題を扱う所も似ています。
交響曲も9番まであり、どれもが30分を超える大作故に日本ではコンクールや演奏会で取り上げられる率は低いのですが、一本芯の通った音楽に魅力があります。
吹奏楽はつまらないとか思ってる人にこそ聴いてもらいたい作曲家です。
そんな訳で、
この機会にマスランカ作品を布教してみたいと思います。

- アーティスト: Maslanka,Dallas Wind Symphony,Junkin
- 出版社/メーカー: Reference Recordings
- 発売日: 2006/11/14
- メディア: CD
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先ずはジェリー・ジャンキン指揮、ダラス・ウインド・シンフォニーによるアルバム。
この盤は高音質録音で知られるREFERENCE RECORDINGS(大植英次指揮の『シバの女王ベルキス』などが有名)から出ております。
『交響曲第4番』の他、マスランカにしては珍しい表題的な二曲、『イン・メモリアム』と『子供の夢の庭』が収録されており、マスランカ初心者はこれから聴くのがよいかと思います。

- アーティスト: スリーパー,マスランカ,ギャリー・D・グリーン(指揮),マイアミ市フロスト管楽アンサンブル,クレイグ・モリス(トランペット)
- 出版社/メーカー: Naxos Historical
- 発売日: 2008/03/05
- メディア: CD
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『交響曲第3番』が収録されているこの盤はNaxosから出ているもの。廉価のNaxosレーベルと侮るなかれ。
アマゾン・プライムミュージックで視聴できます。

- アーティスト: ドアティ,マスランカ,ラウズ,ギャリー・D・グリーン,マイアミ市フロスト管楽アンサンブル,グレン・バシャム,ティム・コナー
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2010/06/16
- メディア: CD
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同じくNaxosから出ている『トロンボーン協奏曲』が収録されている盤。息の長いチェロのメロディーにトロンボーン独奏が絡む瞑想的な音楽です。
こちらもプライムミュージックで視聴できます。

マスランカ:ソングス・フォー・ザ・カミング・デイ&生命の奇跡
- アーティスト: 雲井雅人サックス四重奏団,マスランカ
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2013/10/09
- メディア: CD
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サクソフォン・アンサンブルのための作品『来るべき日への歌』、なんと40分を超す大曲。雲井雅人氏とその弟子による共感と驚異のアンサンブルが聴きものです。
以上がおすすめの盤です。
他にも多々録音はあるのですが私自身まだ開拓中なこともあり網羅できてないので……。
マスランカ作品はスクールバンドを嗜んでいた人には難解に聴こえると思いますが、吹奏楽(ウインド・アンサンブル)の世界にはこんな音楽もある、ということを知って損はないと思います。
コンクール受けやコンサート映えといった市場とはまた違った純音楽の世界に浸るのも良いものです。それを知った耳から聴く、それまで聴いてきた音楽はまた違った感じ方が出来るようになるものです……好き嫌いは置いておきましょう(笑)
マスランカの作品はそうした音楽受容の自由さを持っているように思います。
そんな音楽を届けてくれたデイヴィッド・マスランカ氏のご冥福をお祈りします。