現代音楽が苦手な人こそ武満徹を聴こう。
世界における最も有名な日本人作曲家というと武満徹の名前を上げない訳にはいきません。
『弦楽のためのレクイエム』がストラヴィンスキーの耳に入り、そこから世界的なキャリアがスタートする武満徹。その独特な音楽は武満サウンドと呼ばれ、一躍世界的な作曲家として認知されるようになります。
とはいうものの、正直武満徹の音楽はよく分からない……いや、よく分かりませんでした。
学生の時分にその知名度の高さと評価から何度か挑戦したものの、結局分からず仕舞いでした。それから8年ばかり経ち、つい最近その良さの片鱗を感じられるようになってきました。
それに対する気付きを記してみたいと思います。
武満徹の音楽は、現代音楽の枠内でありながら美しく、歌に溢れている。
音楽史の中で順繰り聴いていればが気付くのが早かったでしょうが、あらゆる時代の音楽が並存している現代ではそうもいきません。
シェーンベルクから始まった12音技法からベルク、ウェーベルン、シュトックハウゼンやブーレーズ、クセナキスにメシアン等、同時代の現代音楽の中にあっても武満徹ほど豊潤で美しい現代音楽はありませんでした。
武満以後、その豊潤なサウンドにはオリバー・ナッセンやジョン・ウィリアムズ、日本人作曲家でも多く影響を受け、現在では細川俊夫や藤倉大らが挙げられます。
マーラーやストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチ他、同時代の20世紀の音楽は重たく激しいものが多く、かつそこに惹かれた愛好家も多いと思いますが、武満の音楽はそう言ったものが殆どありませんでした。
美しく歌があると言えども現代音楽、明確なメロディはなく激しい強烈な音響もない武満作品は前述のマーラーやストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチを愛好していた時分にはその良さが分からなかったのでした。
武満徹は実演を聴いてこそ面白さが分かる。
武満サウンドの面白さに気付く以前に『3つの映画音楽』と『系図』を実演で聴く機会があったのも大きかったです。この2曲は武満作品の中では比較的取っつき易いもので、私の理解に大きな助けとなりました。
現代音楽の複雑さは音だけ聴いているだけでは掴み辛いものがあります。しかし実演になり実際にオーケストラがどのように演奏しているか、視覚の情報が入るとまた面白さが変わってきます。
更に言うと、現代音楽の複雑さを理解するのに情報量を如何に処理するかも聴き手側に課せられた問題だと思います。それをカバーするのが実演で聴くこと、その機会がない場合は良い音で、CDなら高音質で再生することをお勧めします。
武満徹は良い音で聴くべし。
美しく、歌に溢れた武満サウンドを楽しむ上で是非とも実践していただきたいのがこれです。
良い音で、静かな環境で聴くこと。
コンサートホールで聴く状況と近しいものがありますが、そこまで大仰である必要はありません。高音質の音源(CDや高容量のデータ)とヘッドホン、イヤホンがあればそれで大丈夫です。
その上で、静かな環境で聴くのが良いでしょう。人のいない静かな部屋や夜道を散歩しながらが個人的にはおすすめです(笑)
その音の流れにただ身を任せてる。それだけで武満サウンドの面白さが伝わるのではないかと思います。
是非試してみてネ。

武満徹:鳥は星形の庭に降りる/3つの映画音楽/精霊の庭/ソリチュード・ソノール 他
- アーティスト: ヴァリアス・アーティスト
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2011/02/25
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